openfoam を始める人はチュートリアルを参考にして設定方法を確認することが多いと思います。しかし,自分にとって興味がないモデルで設定方法を確認しても飽きちゃいますよね。皆さんに興味があるかわかりませんが,円柱後方の流れ場を題材にしてblockMesh, ジオメトリ作成,snappyHexMesh, 境界条件設定(2次元なので”empty“),計算の実行(ここでは”icoFoam“),計算結果の確認(“paraFoam“)といった内容をひとつづず説明していきます。まずはモデルの説明から。
円柱後方の流れ場は,レイノルズ数Re = 26で対称な双子渦,Re = 55でウェークの振動,Re = 140でカルマン渦列,Re = 10^4で乱流境界層を形成するといわれています。本当にそうなるか確認していきましょう。下図は参考書からの引用です。
流体力学シリーズ5 流れの安定性,水島,藤村 著,日本流体力学会 編,朝倉書店(2003)
モデルの寸法
上に示した二次元モデルを作成します。円柱の直径をDとして,D = 30 mmとします。blockMeshのところで後述しますが,円柱の直径方向に10メッシュ入れるためにメッシュサイズ(1メッシュの長さ)を3 mmとします。
x,y平面上のモデル,z方向に1メッシュ作成する
この二次元モデルはx-y方向に距離を有するモデルとしますが,openfomaで二次元モデルを作成する場合,z軸方向に1メッシュ作成する必要があります。z軸方向を境界面をemptyとして設定することで二次元モデルとなりますが境界条件設定で後述します。
入口面流速でレイノルズ数をケーススタディする
このモデルの入口面はx軸方向の円柱中央から5D (= 5 x 30 mm = 150 mm)離れている側の面とします。x座標は-0.15です。座標はメートル単位で示します。一方で出口面はx軸方向の円柱から30D (= 30 x 30 mm = 900 mm)離れている側の面とします。x座標は0.9です。レイノルズ数Reは
Re = D * u / ν
D; 代表長さ (m)
u; 流速 (m/s)
ν; 流体の動粘度 (m2/s)
で示されますので,モデルの形状が定まれば代表長さDは決まります。流体物性はどんな流体を流すかを決めればおのずと決まります。ここではモデル形状と流体物性は同じとして,流速をケーススタディーすることでレイノルズ数をケーススタディーしていきます。
流体は液体の水とする
ここでは流体物性は1x10^(-6) m2/sとします。これは常温常圧での液体の水の動粘度に相当します。なんてことはない常温の水と思ってください。熱の移送や相変化は考慮しません。流体物性についてはtransportPropertiesで後述します。
Re =150 の場合
上述したレイノルズ数の式をuについて解くと,
u = Re * ν / D
となります。上述した数値を代入すると,u = 150 * 1 x 10^(-6) / 0.03 = 0.005 m/sとなりますので,この流速を入口面の境界条件として入力することになります。同様に
Re = 1000 ならば u = 0.333 m/s,
Re = 300 ならば u = 0.001 m/s
となります。
モデルの形状説明は以上です。シリーズでやっていきます。
コメント
[…] ここで計算設定の詳細を説明することは割愛します。興味のある方は,円柱後方の流れ場シリーズをご確認下さい。こちらから。 […]